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<Web ちゃっきりむし 1972年 No.10〜13>

● 目 次
 清 邦彦:会誌のありかたについてのもう一つの意見 (No.10)
 高橋真弓:静岡昆虫同好会創立20年目をむかえて (No.11)
 諏訪哲夫:同好会創立20周年を記念する行事 (No.12)
 清 邦彦:総目次発行にご協力お願いします (No.13)

 ちゃっきりむし No.10  (1972年2月29日)

  会誌のありかたについてのもう一つの意見 清 邦彦

 東京に住んでいてよく耳にすることは,「静昆はしっかりしている」という評判である.なぜか,同好会の活動内容は会誌に反映されている.「駿河の昆虫」の記事は,研究者にとって,参考資料とするのに非常に密度の高いものをもっているからだろうし,反面その分野に関心のうすい人にとっては,まるで電話帳のようなつまらないものであろうのに,よくクーデターが起きないものだということなのかも知れない.

 会誌というものは,いわば会の骨格とか幹のようなものであろう.それ自体は味気ないものでも,堅く,しっかりと会を支えるものでなければならない.

 われわれはアマチュアではある.しかしながら研究者のつもりでもある.郷土の昆虫を研究しようという意気込みで集まっている以上,その気持には"中央"とか"プロ"と何ら変りはない.たとえ全国に通用するまとまった研究や論文を書く力はなくとも,知識の不足から誤りがあろうとも,自分の能力いっぱいに,小さな観察でも,それが一資料として、学界に少しでも貢献できることを願うという姿勢が大切ではなかろうか.「駿河の昆虫」も,会としての能力の範囲内でより学術的な雑誌に近づけるつもりで編集していただきたい.それが堅くるしいものになろうともかまわないではないか.アマチュアだからといって娯楽性ばかりを追っていいという理由はない.

 ただ,会誌という幹はしっかりしているが,枝葉の部分―たとえば会員間の連帯を深めるような活動がちょっとすくないようにも感じられる.会として催す以外にも,調査会や討論会のようなものなら,会員個人から呼びかけてみてはどうだろうか?「'72年対ギフ作戦会議―〇月○日某所にて」「求む同行者―×月×日富士山へ行きます」などと「ちゃっきりむし」に3行広告を出すのもよいと思う.

 ちゃっきりむし 11(1972年6月30日)

  静岡昆虫同好会創立20年目をむかえて 高橋真弓

 1953年4月に会誌「駿河の昆虫」創刊とともに発足した本会は,ことしで20年目をむかえることになりました.

 戦後,アマチュアのあいだに昆虫研究熱が高まり,数多くの昆虫同好会が結成されましたが,その大部分はいろいろの事情から経営難におちいり,消え去っていきました.今日,20年以上の歴史をもっているのは,本会を含めて七つか八つぐらいかと思われます.

 会誌「駿河の昆虫」はトウシャ印刷ではじめられ,1967年後半の59からやっとタイプ印刷に移行しましたが,体裁よりもまず内容の充実を目標として,この地方でなければできない調査・研究の成果を掲載し,着々と多くの資料を集積してきました.正確なデータの密度の高いことも,この会誌の大きな特徴といえると思います.ただ,蝶の記事にかたよりすぎて他の分野の投稿がすくないことなど,まだいくつかの問題点がありますが,長所は長所としてのばし,欠点をおぎなって,いっそうすぐれた同好会誌として発展することを願ってやみません.

 最近は,全国的にも"開発"の美名のもとに自然破壊が急速に進み,私たちの郷土静岡県でも,森林の乱伐,観光道路・ゴルフ場・大規模な"レジャー施設"の建設など,自然の荒廃には目にあまるものがあります.昆虫同好会の本来の性格は,自然保護団体のものとはまったく同じとはいえませんが,それぞれ独自の性格をもつ関係諸団体とも協力して,自然を荒廃から守るためにも努力しなければならないと思います.自然が失われていけば,野鳥の会も昆虫同好会も消えてしまうことでしょう.

 ことしは,会創立20周年を記念する行事も計画されていますが,これを機会に新しい時代にそくした同好会のいきかたを追求し,昆虫学の発展と地方文化の向上のために努力していきたいと思います.

 ちゃっきりむし 12(1972年9月30日)

  同好会創立20周年を記念する行事 諏訪哲夫

 1953年に発足した静岡昆虫同好会は,はやくも20周年をむかえることになりました.これを記念して本会ではなにか行事をおこなうことになりましたが,記念行事というと展覧会形式のものが一般的ですが,本会では会場,経費,標本の運搬,管理等に問題が多いのでかえってあとまで残り,役に立つものを計画したいということになりました.

 会誌「駿河の昆虫」も年に4号計80号(明年3月発行予定)をかぞえ,ページ数も2700ページをこえることになりそうです.この中で数多くの一級報文のほか,インセクトノートは650ほども報告されました.

 私達が野外に採集に行く時は,目的の場所である種がいままでに記録されていたか,あるいは近くの場所に既産地があるので新産地を調査する時,参考文献として引用する場合,または分布図をかく場合には「駿河の昆虫」の目次をはじめからひっくりかえして見,その表題だけでは必要な内容がまったくかくれて読みなおさなければならないものであったりして,その労力はかなりのものでした.そこでその労力を少しでも軽減できれば,また雑誌が全部そろってない方でも報告内容がわかるようにと,「総目次」をつくることに決定しました.前にも述べましたが,報告された表題だけでは内容がかなり不明瞭なものもあるので,内容補足とその報告のかんたんな解説とに分けて書くことにしました.また記録を整理統一する意味で,旧市町村が対照できる図面をつける予定でいます.これはあくまで目次ですので,目新しいものはなく,ただ「駿河の昆虫」を読みなおしてみるのに役立ち,今後の調査研究に役立つ手引となってくれればよいと思っております.

 ちゃっきりむし 13(1972年12月25日)

  総目次発行にご協力お願いします 清 邦彦

 ちゃっきりむし11号からお知らせしているように,同好会創立20周年を記念して,駿河の昆虫1号から80号までの総目次を発行することになり,現在原稿作成の段階にはいっております.この総目次の特色は,報文の表題だけでなく,その内容を可能なかぎり詳しく紹介するもので,駿河の昆虫前号の要約ともいえるものです.全号をそろえている会員の少ない現状から,むしろバックナンバーを持っていない方々を対象としております.すでに多くの方々からご寄付やご予約をいただいておりますが,ここに改めてその方々にお礼申し上げるとともに,さらに多くの方々からのご寄付(金額制限なし),ご予約(送料とも600円)をお願いするしだいです.

 なお,総目次編集にあたって,毎週木曜日午後6:30ごろより静岡市伝馬町の喫茶店コーヒーカップにて定期的に会合をもっております.予定では1月は11日より3月いっぱいまでです.ご意見のある方,だれかと虫の話をしていないとがまんできない方,どうぞ自由においでください.