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<Webちゃっきりむし 1991年 No.87〜90>

● 目 次
 杉本 武:復元されたトンボの池 (No.87)
 清 邦彦:ヒト生息環境図鑑をつくりたいなあ (No.88)
 高橋真弓:日本鱗翅学会「第2回蝶類の保護セミナー」の開催 (No.89)
 清 邦彦:レッドデータブックの昆虫 (No.90)

 ちゃっきりむし No.87 (1991年3月1日)

  復元されたトンボの池 杉本 武

 日本平(有度山)の南側,石垣イチゴや久能山東照宮で知られる静岡市安居地区にある柳沢川の右岸に,広さ60平方メートルほどの小池があり,20年ほど前に私はよくその場所を訪れていた.初夏には池の周辺にショウジョウトンボ,ネキトンボ,オオシオカラトンボなどが多数飛び交い,池の上には美しいクロスジギンヤンマのオスがメスの飛来を期待してパトロールをしていた.それはすばらしい光景であり,山にかこまれた静かなこの池でトンボたちにかこまれていると,子供の頃,トンボを夢中で追った時の興奮がもどってきた.この池は,その西側にある山からの湧き水が流れ込んでいて,少しずつ水が入れかわる.そのため,水質がよく,藻類などがよく育ち,ヤゴの餌となる小昆虫も多かった.トンボが高密度で生息できたのもそのためだったのだろう.

 ところが今から17年前の1974年7月7日に突然に悲劇がおこった.静岡県中部を襲ったあの七夕豪雨である.池の上の山が崩れて池は完全に埋まってしまったのである.もう再びあのトンボたちを見ることができないと思うと,本当に豪雨がうらめしかった.

 当時この池に通っていたトンボの研究家は福井順治氏と細田昭博氏(旧姓は熊切)だった.2人とも自然研究グループ野路の会のメンバーで,この池を私に教えてくれた人たちである.池が消えて2年後,野路の会の総会の時に私は池の復元を提案した.「あんなにトンボの多い池がなくなったのはあまりにも惜しい.皆で池を掘り直せないものだろうか,必ずトンボはもどってくると思う」と言ったら皆が賛成してくれた.

 池を掘るにはその場所の地主をさがし当てなければならない.幸いメンバーの一人,池田二三高氏の尽力で地主が分かった.そこで私と細田氏が地主の家に交渉に出かけた.しかし,結局は相手にされず,あきらめざるを得なかった.今日でこそ,日本各地でトンボを呼ぶ池を作る試みが盛んになってきたが,当時はトンボを呼ぶ池を掘るなぞは物好きのたわ言と思われて,話にならなかったのである.このようにして10年が過ぎていった.この間は野路の会は桶ヶ谷沼の調査にのり出し,沼の保護運動に熱中していた.この間にも,いつか池を掘りたいという気持は変らなかった.

 ところが1988年の春に,池田二三高氏が,池のあった場所の近くの空地を地主が貸してくれるというホットニュースをもってきた.10年間無償で貸してくれるというのである.にわかに池掘りが現実味をおびてきた.そこでまず,地主との契約書を交わし,企画から作業器材の手配,作業手順にいたるまで一切が池田氏の下にすすめられ,1988年12月25日についに池掘りが始まった.野路の会のメンバーを中心に,私の勤める学校の女子生徒や静岡大学学生有志も参加して,半日あまりかかって7メートル四方(約50平方メートル),水深30〜50センチの池が完成した.池の水源はやはり西側の斜面からの湧水で,水が少しずつ入れかわるので水質もよい.元の池に近い環境になった.

 そして翌年の春には早くもクロスジギンヤンマが盛んに飛来しはじめ,ショウジョウトンボ,オオシオカラトンボ,ハラビロトンボなども顔を見せはじめた.その年の冬期のヤゴ個体数調査では,クロスジギンヤンマ168頭,オオシオカラトンボ92頭,ショウジョウトンボ62頭が記録され,ほかにネキトンボ,アカネsp.マルタンヤンマなどのヤゴも見つかった.さらにマツモムシ,アメンボ,ヒメゲンゴロウ,フタバカゲロウ幼虫などはもちろんのこと,タイコウチ,ミズカマキリまで見つかり,各種の水生昆虫も誘致されたことが分かった.

 二年目からは私の学校の自然科学クラブの生徒たちが調査,研究を担当しているが,1990年の羽化殼調査では,ネキトンボが実に117頭,クロスジギンヤンマが100頭ほど羽化したことが分かった.そしてマルタンヤンマの飛来は何度も目撃され,数頭が採集されている.これまでのところ,このトンボ誘致作戦は大成功だったといえよう.元の池のようにいろいろなトンボが顔にぶつかるほどにふえることを願いながら,これからも年次を追って調べていきたいと思っている.

 ちゃっきりむし No.88 (1991年6月14日)

  ヒト生息環境図鑑をつくりたいなあ 清 邦彦

 あちこちで「自然」とか[環境]といつた言葉が目につく.なんでもかんでも「地球にやさしい」と言えばつい何となく良いことだと思つてしまう.しかしここで,では自然とは,望ましい環境とは,といった具体的なことになると,人によって違っていたり,あいまいであったりする.ただ緑でありさえすればよいものではない,緑の質こそ問題なのだと叫んだところで,その「緑の質」とはいったい何なのか,何を基準にすればよいのか.

 確かに「手つかずの自然」は大切だが,そうどこにでもあるものではないし,私たちは手を加えねば生活できない.手を加えてしまった所はもう自然としての価値はないのか,どんどん手を加えていっても構わないのか,いや,よりベターな環境を保つためにそれぞれの利用目的に応じた手の加えようといったものがあるはずだ.適度に手を加えることによって維持されてきた「自然」だってあるではないか.私たちが望むのは,自然と人間の対決でもなく,また,隔離でもない,共存である.それならどのように共存すればよいのか.

 これらの疑問に答え,その基準,指針となるのが「環境図鑑」である.昆虫同好会の方々に今更,地球上でもっとも繁栄しているのは昆虫類であるとか,昆虫がいかに環境指標性が高いかなど,わかりきったことを説明する必要もないだろう.結論だけ言えば,昆虫こそ地球の代表者であり,その生息環境を守ることが地球を守ることに通じる.つまり昆虫にやさしい環境は地球にやさしい環境であり,そしてまたヒトが長く地球上に生きてゆくのにふさわしい環境なのでもある.だから「昆虫生息環境図鑑」は「ヒト生息環境図鑑」である.

 人と自然との関係のあるべき姿,今,それを語ることができるのに最も近い所にいるのが私たち昆虫研究者ではないだろうか.たとえ理屈は抜きにしても,皆少年時代から自然と四つに組んで付き合ってきた人たちであり,肌で感じることのできる人たちだからである.

 ちゃっきりむし No.89 (1991年10月25日)

  日本鱗翅学会「第2回蝶類の保護セミナー」の開催 高橋真弓

 6月29−30日,埼玉県浦和市の別所沼会館で上記のセミナーが開かれました.この催しは日本鱗翅学会が,近年の"開発"による自然環境の破壊により減少した蝶類をどのようにして保護したらよいかを話し合うために開かれたもので,すでに昨年の大阪市で第1回のセミナーを開いています.

 2日間にわたって開かれた今回のセミナーは,総論,各論I,各論Uの三部に分けて行なわれ,全体をつうじて活発に討論され熱気を感じさせるものでした.つぎにその中のいくつかの講演内容を紹介します.

 まず総論では,鈴木邦雄氏が「生物的多様性の保護」として,地元富山県での自然保護運動の経験から,特定の種だけを選別して保護しようとするのは,それ以外の種についての関心をうすめ,地域の自然環境を全体的に保全するという視点を失うおそれのあることを指摘し,日本鱗翅学会の蝶類保護運動に一石を投じられました.今後,同会ではこの一石が波紋を呼び議論がさらに深まることと思います.

 池谷奉文氏の「ビオトープの保護と創造」では,西ドイツにおける自然復元の試みが紹介され,分断された点としての自然環境を線としてつなげ,連続した環境を復元して生物を守ることの意味が説明されました.この考え方が日本でどのようにして生かせるかが今後の論議を呼ぶことでしょう.

 柴谷篤弘氏は「鳥と昆虫」の中で,両者の繁殖力の違いから,研究方法に違いがあることは当然で,昆虫の場合には採集行為が必要であることを指摘され,「トリ屋とムシ屋は相互に理解を深め,共闘関係に立たねばならぬ」ことを述べておられます.

 各論Iでは7題の講演があり,オオムラサキ,ヒメギフチョウ,ギフチョウ,ギンイチモンジセセリ,ミドリシジミなどの保護運動が報告されました.

 杉田正之氏の「嵐山町におけるオオムラサキの森づくり活動」は埼玉県嵐山町の「県民休養地」に「オオムラサキの森」をつくり,オオムラサキのみでなく,生態系としての雑木林全休を保護していく運動の1例を示しています.

 跡部治賢氏は「長坂町(山梨県)のオオムラサキの保護について」として,1979年以来同町青年会を中心に,地域ぐるみでエノキやクヌギを増やして生息地を保護している運動を紹介し,将来ここに「自然教育公園」をつくる構想が示されました.

 松村行栄氏は「赤城山のヒメギフチョウ保護その後」として,この蝶が明治以来雑木林の消滅とともに衰亡していることを述べ,現在わずかに生存している地域を,毎年延べ100人が調査し,その結果に基づいて,今後の保護についての問題提起をしておられます.

 新井秀子氏(本会会員)の「山梨県富沢町のギフチョウ保護」では,植林による個体数の減少,「88ヶ所めぐり」による採集者の激増,畑の踏み荒らしによる苦情,採集しないようにとの立看板などにふれ,計画的伐採と節度ある採集の必要を要望されました.

 伊藤正宏氏は「丹沢山塊のギフチョウ保護と問題点」として,1974−75年に放蝶した個体群が伐採によって増加したが,集中的な採集によって激減した事実を示し,限られた産地では採集行為による影響がけっして無視できないものであることを警告されました.

 脇一郎氏は「蝶を保護するとは?」の中で,神奈川県下のギンイチモンジセセリの生息地調査の結果から,蝶を守ることはその生息環境を守ることであると結論し,復元の可能性のある土地を買い,人材を確保・養成して保護にとりくむことを提言しておられます.

 最後に江村薫・萩原昇氏は「埼玉県でミドリシジミを県の蝶にする動き」として,ミドリシジミを守るということは,他県には見られない大きなハンノキ林を守れるという観点から,この蝶を県の蝶とする運動を進めていることを報告されました.

 各論Uでは,山本道也,田中蕃,巣瀬司,石井実の各氏がルートセンザス,環境評価法,蝶類群集調査のマニュアルなどについて話され,今後の保護活動に役立つ基礎調査の方法が示されました.

 なお,詳しいことは,上記の日本鱗翅学会第2回セミナー委員会編の「資料集」をごらんください.

 ちゃっきりむし No.90 (1991年12月16日)

  レッドデータブックの昆虫 清 邦彦

 今年(1991年)の8月,「野生動植物の絶滅回避へ新法,動物650種…」という見出しで,環境庁が次期通常国会に「絶滅の危機にひんする野生動植物保護法」を提出するというニュースが新聞で報じられた.日本版レッドデータブックを基に保護が必要な種をリストアップし,採集の禁止などの保護対策をする,絶滅の危機にある昆虫はヤンバルテナガコガネなど206種である,現行法では昆虫の採取の禁止ができないから,といった内容で,読みようによっては206種の昆虫が採集禁止になると思わせる記事である.私たち昆虫の好きな者にとって重大なことなのだが,その206種の昆虫とは何かさっぱりわからない.レッドデータブックの無セキツイ動物編が発行されたというニュースは10月になってから新聞に載った.
 この,「レッドデータブック(日本の絶滅のおそれのある野生生物)」に掲載されている昆虫はつぎのとうりである.

●絶滅種
カドタメクラチビゴミムシ コゾノメクラチビゴミムシ

●絶滅危惧種
イシイムシ ヒヌマイトトンボ ベッコウトンボ エグリタマミズムシ シオアメンボ イシガキニイニイ オガサワラハンミョウ ケバネメクラチビゴミムシ ツブラセメクラチビゴミムシ ウスケメクラチビゴミムシ リュウノメクラチビゴミムシ キイロホソゴミムシ ヤシャゲンゴロウ シャープゲンゴロウモドキ リュウノイワヤツヤムネハネカクシ ヨコミゾドロムシ ヤンバルテナガコガネ キイロネクイハムシ イソメマトイ ゴイシツバメシジミ オオウラギンヒョウモン ミツモンケンモン ノシメコヤガ

●危急種
ミヤジマトンボ クロイワゼミ カワムラナペブタムシ タガメ イカリモンハンミョウ ヨドシロヘリハンミョウ マークオサムシ ホンシュウオオイチモンジシマゲンゴロウ マダラシマゲンゴロウ ゴヘイニクバエ イトウハバチ ギフチョウ ルーミスシジミ ヒョウモンモドキ タカネヒカゲ

●希少種
 カラフトイトトンボ アカメイトトンボ カラカネトンボ オガサワライトトンボ リュウキュウルリモントンボ アマミルリモントンボ マサキルリモントンボ リュウキュウトゲオトンボ オガサワラアオイトトンボ ハナダカトンボ ヤエヤマハナダカトンボ チビカワトンボ リュウキュウハグロトンボ オキナワサナエ アマミサナエ ヤエヤマサナエ オキデワオジロサナエ ワタナベオジロサナエ ヒメホソサナエ オキナワサラサヤンマ アマミヤンマ イシガキヤンマ サキシマヤンマ イイジマルリボシヤンマ カラスヤンマ アサトカラスヤンマ オキナワミナミヤンマ イリオモテミナミヤンマ オキナワコヤマトンボ ヒナヤマトンボ タイワンコヤマトンボ サキシマヤマトンボ オガサワラトンボ ミナミトンボ リュウキュウトンボ シマアカネ キイロハラビロトンボ エソカオジロトンボ オキナワキリギリス ツシマフトギス ペニツチカメムシ エサキアメンボ ババアメンボ オキナワマツモムシ ミズムシ オオミズムシ ナガミズムシ チョウセンケナガニイニイ ダイトウヒメハルゼミ ツシマカマキリモドキ ルイスハンミョウ ハラビロハンミョウ クロオビヒゲプトオサムシ ワタラセハンミョウモドキ ドウキョウオサムシ ウミホソチビゴミムシ オオキバナガミズギワゴミムシ クチキゴミムシ アマミスジアオゴミムシ ムカシゲンゴロウ メクラゲンゴロウ トダセスジゲンゴロウ コガタノゲンゴロウ キタゲンゴロウモドキ チュウプホソガムシ セスジガムシ セスジマルドロムシ アカツヤドロムシ オオズウミハネカクシ マルダイコクコガネ オオチャイロハナムグリ ミクラミヤマクワガタ キンオニクワガタ ヤクシマオニクワガタ ミヤコマドボタル カツラネクイハムシ アカガネネクイハムシ アキミズクザハムシ ムラサキアオカミキリ アカネキスジトラカミキリ フサヒゲルリカミキリ ケマダラカミキリ ミチノクケマダラカミキリ ヒメビロウドカミキリ アサカミキリ ヨツモンミツギリゾウムシ チャバネホソミツギリゾウムシ ダイトウスジヒメカタソウムシ ニホンアミカモドキ カエルキンバ工 オオナギナタハバチ アカマルナギナタハバチ チャイロナギナタハバチ ヒダクチナガハバチ クチナガハバチ シロアリモドキヤドリバチ アブラサカハラナガツチバチ ナガセクロツチバチ ケシノコギリハリアリ ヤクシマハリアリ ホソハナナガアリ ハナナガアリ ナガオオズアリ イバリアリ ミヤマアメイロケアリ ヤマトムカシアリ トサムカシアリ ヒコサンムカシアリ オガサワラムカシアリ ヤクシマムカシアリ アマミドロバチ オガサワラチビドロバチ オガサワラアナバチ フクイアナバチ コダマジガバチモドキ オガサワラギングチバチ テングツチスガリ アカアシセジロクマバチ アマミクマバチ オキナワクマバチ オガサワラクマバチ イシガキシリアゲ アマミシリアゲ カタツムリトビケラ チャマダラセセリ ヒメチャマダラセセリ タカネキマダラセセリ オガサワラセセリ アサヒナキマダラセセリ ウスバキチョウ ヒメギフチョウ ミカドアゲハ クモマツマキチョウ ミヤマシロチョウ ミヤマモンキチョウ チョウセンアカシジミ ベニモンカラスシジミ イワカワシジミ キマダラルリツバメ クロシジミ オガサワラシジミ リュウキュウウラボシシジミ ツシマウラボシシジミ クロツバメシジミ タイワンツバメシジミ オオルリシジミ ゴマシジミ カラフトルリシジミ アサヒヒョウモン オオイチモンジ コノハチョウオオムラサキ アカホシゴマダラ フタオチョウ ダイセツタカネヒカゲ クモマベニヒカゲ リュウキュウウラナミジャノメ マサキウラナミジャノメ ヤエヤマウラナミジャノメ クロヒカゲ御蔵島亜種 ヒメヒカゲ クロフカバシャク ヨナグニサン ハグルマヤママユ フジシロミャクヨトウ アズミキシタバ

●地域個体群   宮古島のツマグロゼミ

 その後の蝶に関する新聞記事の中では,「条例で保護されている蝶の卵を採った,この蝶はレツドデータブックにも載っている」「レッドデータブックに載っている蝶の情報を流した」といった使われ方をしていて気になった.何となく掲載種=採集禁止種であるという印象を読者に与えかねない.掲載種全部を保護対象にしたら,日本のほとんどすべての開発は何らかの制限を受けるであろうし,農林業の在り方も変えねばならなくなるであろうから,全種ということはまずないだろう.日本昆虫協会の情報では,「絶滅危惧種」「危急種」が対象となるらしい.それでも,例えばタガメを保護するなら水田には殺虫剤は使用できなくなる.ギフチョウなら今のスギ・ヒノキ中心の山林を雑木林に変えて行くことになろう.オオウラギンヒョウモンやヒョウモンモドキなど草原性の昆虫の保護となるとさらに困難である.もしこれらの種を本当に保護してくれるのなら,採集禁止になるのもやむを得ないのかもしれない.私たちもそのくらいの痛みは分かち合うべきであろう.

 ところがもう一度新聞記事(静岡,産経,日経ともほとんど同文)を読み直して驚いた.要約すると『野生生物をリゾート開発や河川改修による絶滅から守るため,捕獲,取引を禁止し,罰する』ということであって,「生息環境を守る」とか「開発をさせない」などとは書いてないのである. それなら206種すべてを対象とすることも可能である.「サツキマスを河口堰建設による絶滅から守るため,捕ることを禁じ,捕った人を罰する」というのが環境庁の考える「保護」らしい.たぶん,「河口堰の建設は建設省の仕事で,弱い立場の環境庁としてはそれを止めさせるごとはできないからそれはさておき,サツキマスの捕獲を禁止することで,環境庁としてはしっかり保護の仕事をやっている」ということを内外にアピールするのが目的の法律で,生物を保護する気など,新聞記事を読んだ限りでは,あるとは思えない.